しま子の読書会ブログ

読書会をするブログです。たまに私が見た本や映画の紹介もしたいです。

第三十三回「Lilith」 川野芽生

 私たちの読書会史上、初の試み。短歌集です!

 私は短歌集が好きで一度は短歌集を読書会でやってみたいなと思っていました!

 「ねむらない樹」という短歌のムック本を読んでいるときに評判だった、川野芽生さんの「Lilith」を今回の課題図書にしてみました!

 短歌の常識や知識はないけれども、みんなで楽しく色々解釈できればと思っています!

 

姉「短歌って苦手なんだよね。一時を切り出したものが苦手だし、私は始まりと終わりが明確にある作品の方がすきだなぁ」

 

 不安しかありません!(´・ω・`)

 

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第三十二回「ナナ」 エミール・ゾラ:著 川口篤・古賀照一:訳

 もう三月になってしまいました。

 

 それもこれも毎年年末に行われる、「読まなきゃいけない気がするけど、きっと読むのはおっくうな本をくじ引きで決めて読もう」企画のせいなのです。

 

 今年は姉がくじに入れたゾラの「ナナ」。

 

 ゾラかぁ・・・

 

 受験期に覚えたゾラと「居酒屋」。日本に自然主義の影響を与えた人ですよね。

 何か自然主義という言葉に対してあまりイメージがないんですよね。読むと面白いんですけど、何かこう内に内に入っていく感じで疲れるというか。

 

 と思って読みはじめた「ナナ」。

 

 予想通り毎日寝る前に読むと、2Pでぐっすり安眠することができました!

 

気づくと2ヶ月あった猶予期間が

残り2日!残り600P!

 

 その日から私はずっと立ちながら読むことになりました。眠さとの戦いです。

 あまりにも眠すぎて寒い街を本を読みながら歩くというアクロバティックな方法をとったりもしました。 

 

 しかしそのまま読んでいくとだんだんと面白く感じるようになって……

 あれ? 思っていた自然主義と違う。

 

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第三十一回「NHKこころの時代~宗教・人生~ それでも生きる 旧約聖書『コヘレトの言葉』」 小友 聡:著  (NHK出版)

 日本では宗教と言えば、少し敬遠されるイメージ。

 

「それ宗教じゃん!」

 

 って日常会話で、出てくるときにはやはり良いイメージの時ではありません。

 

 でも世界に目を向けてみると宗教を信じている人が6~8割です。ほとんどの人が信じています。

 

 私自身も無宗教なのですが、ある文章に出会い少し宗教が気になりはじめました。

 

「宗教は目の前の現実とそこでの自らのあり方を徹底的に突き詰めることを通して既存の情報や知識の価値を徹底的に見直すことから始まる。そしてそれに『囚われる』ことから自由になる精神的な空間を『学び』を通して発見し、自分の生き方をそれに沿って新しく律していく態度を内包している。(「学ぶとはどういうことか」佐々木毅)」

 

 宗教が自らを徹底的に見直し、自分を律する態度を作り出す。それって素晴らしいことです。でもこのとき、実感を持ってこの文章を読むことはできなかったのです。

 

 今回の課題図書はシュガさんがテレビを見ていて感銘を受けた「それでも生きる」というEテレの番組で、旧約聖書の「コヘレトの言葉」を扱ったムック本です。シュガさんは普段から宗教に対しての考えが深く、いろいろな宗教関係の書物に触れています。それに対して私は……。

 

私「旧約聖書って一つの書物じゃないんですか? コヘレトの言葉とかなんで全然知らない人の言葉が入っているんですか?」

 

姉「(´_ゝ`)」

 

シュガさん「ま、まあ今回はコヘレトの言葉に一点集中しながら、楽しんでやっていこうよ!」

 

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映画鑑賞③「ソラリスの著者」

 100分で名著の「ソラリス」で興味を持ったスタニスワフ・レム。まだしっかりと作品を読んでいなかったのですが、東京都写真美術館で行われているポーランド映画祭

のアンコール作品で「ソラリスの著者」という映画がやっているというので、見に行くことにしました。

 冒頭、解説動画があり「この映画を入り口にレムの作品を楽しんでくれたら幸いです」というニュアンスの言葉で締めくくられていたので、安心しながら映画を見始めることが出来ました。

 

(映画の内容が知りたくない人はこの先見ないでください!)

 

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第三十回「プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか」 メアリアン・ウルフ:著 小松 淳子:訳(インターシフト)

今回の参加者;私、姉、シュガさん

 

 いつも小説ばかりにお世話になっている私にとって文字を読むことは当たり前の行為です。そしてここで文字を書くことで、読んでもらえる(少なくとも姉とシュガさんには!)ことも当たり前のように感じています。

 

 でも、書物の良いところは「当たり前」の感覚をいつでもぶち壊してくれるところです。「プルーストイカ」での体験は自分の考えを大きく変えてくれるものでした。「はじめに」で作者のメアリアン・ウルフはこう言います。

 

「本書がきっかけとなって、あなたが長年当たり前と思ってきたかもしれないこと―たとえば、子どもが読み方を覚えるのはごく自然なことというような見方を考え直していただければと願っている。読むという行為は自然なことではない。」

 

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第二十九回「声」 アーナルデュル・インドリダソン:著 柳沢由美子:訳(創元推理文庫)

姉「次の課題図書さ、アーナルデュル・インドリダソンの『声』にしようかなぁって思ってるんだけど」

 

 と、あまり乗り気ではない様子で課題図書をいう姉。それもそのはず実はこの作品、エーレンデュル刑事シリーズの三作目なのです。

 

姉「一作目と二作目を私はもう読んじゃってるんだよね。だから出来れば三作目でやりたいなぁ」

 

 そんなの気にしないシュガさんと私はOK,OKと安請け合いをしました。

 

 しかしこのエーレンデュル刑事シリーズ、調べてみると北欧ミステリー。

 

 (私が大好きなミレニアムも北欧ミステリーだったなぁ・・・)

 

 気が付くと私は一作目から読み始めてしまったのです。

 

 そして読書会当日。

 

私「二作目の『緑衣の女』が一番面白かった! 事件の真相に向かう中で明かされる加害者の真実が辛いんだけど、その描写が丁寧でリアルで!」

 

姉「いやいや一作目の『湿地』がやっぱり傑作だよね。あの落ちがさ」

 

シュガさん「え。『声』だけ読むんじゃなかったんですか? というか『声』の話はしないんですか?」

 

 ※注意※ この先ネタバレがあるのでこれから読む人は読まないでください!

 

 

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第二十八回「闇の左手」 アーシュラ・K・ル・グィン:著 小尾芙佐:訳(ハヤカワ文庫)

 くっ!まったく読み進められない!

 

 SFでは珍しく大苦戦しました。

 原因としては世界観が確立され過ぎていることです。

 惑星ゲセンを舞台とした物語なのですが、そのゲセンの街の名前も多彩です。

ル・グィンのサイトを見ながら懸命に主人公たちの足取りを追いました)

 また、ゲセンの人々の価値観を表す言葉が初めて出会う言葉ばかり。

 

「ケメル」=両性具有であるゲセン人の発情期を表す言葉

「エクーメン」=複数の惑星連合

「シフグレソル」=面目を施すか失うかといった形での抗争

そして「ヌスス」=我関せず

 

 これらの言葉を飲み込みながら読んでいくとなかなか前に進まず苦労し続けました。

 そして苦労したこの気持ちを共有しに読書会へ向かうのでした。

 

シュガさん「あ~面白かった! 読みやすかったね!」

 

私「ヌスス・・・(´・ω・`)」

 

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