第十七回 「水滸伝」 施耐庵 作 松枝茂夫 編訳(岩波少年文庫)
シュガさん「いやーいま幻想水滸伝ってゲームにはまってるんだよねー」
この発言を聞いたときから嫌な予感がしていました。
確かに面白いです。色々な事情を抱えた個性的な仲間に出合い、集めた108人の仲間の中から6人のパーティを決めて敵に立ち向かう。ちまたではⅡが最高傑作と言われていますが、私的には最初にプレイしたⅢが大好きです。使うキャラクターは章ごとに違い、三人の主人公の視点からゲームをプレイしていきます。しかしストーリを進めて行くとその三人の物語が交差し、胸の熱くなる展開に思わず昔プレイした興奮がよみがえ……
シュガさん「というわけで水滸伝ね」
と現実逃避をしている間に「水滸伝」になってしまいました……。
ゲームならいいんですが、読む形として108人のキャラクターを追うことは果たしてできるのか。そして楽しめるのだろうか。そんな不安を抱えながら水滸伝を読み始めるのでした。
そして読書会当日。
姉「……どうだった?」
私「……びみょー」
姉「あんたが微妙ならシュガさんは好きだろうね」
私「うーんそんな気がする」
待ち合わせ場所でそんな話をしていると、遅れてきたシュガさんが第一声
シュガ「いや面白かったねぇ!」
私とシュガさんが二人とも面白いという作品は現れるのでしょうか。
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第十六回 「増補新訂版 アンネの日記」 A・フランク 著 深町 眞理子 訳(文春文庫)
年末に毎回行われるのが「読まなきゃいけない気がするけど読む気力が起こらない本選手権」です。
三人が三つの紙に選手権の代表にふさわしい本を書きます。
それをビニール袋にいれて取り出し、その本を読むわけです。
過去には「細雪」や「白鯨」といった本に主に私は苦しめられ続けてきました。
今回私が書いた本のタイトルは「エミール/ルソー」「すばらしい新世界/ハクスリー」「死霊/埴谷雄高」です。「すばらしい新世界」以外出たら死にます。私はずっと「すばらしい新世界でろ!」と祈り続けました。
そしてシュガさんが引いた神の右手に開かれたのは……
シュガさん「あ、わたしのだ」
『アンネの日記』
うおぅふ。こんな声がでました。アンネの日記か~そうか~。……。
なんとか気持ちを切り替えることにし、一ヶ月の猶予がありましたので読書会十分前に読破しました。
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読書記録②:「敗者の読書術―圧倒的な力の差をくつがえす発想法」 高橋弘樹 著
お恥ずかしいのですが、私は「読書術」という名のつくものが大好きです。
「楽しいから本を読んでいるんだ!」と胸を張って言えればいいのですが、そんなピュアな心は小学校に置いてきてしまいました。
ふつふつと湧き上がる、どうしても読書を「自分に還元したい」という気持ち。そんな欲望が自分にとっては唾棄すべき汚い考え方だと思うようになっていました。
「本は楽しいから読むんや!」どこかで聞いたことあるようなそんな声が天から聞こえてくるのです。
そんな中で出会ったのが「読書術」と銘打った本たちです。
有名な小説家から、うさんくさそうな評論家まで、さまざまな人たちが独自の「読書術」を書いていました。そこには「自分に還元したい」という気持ちも本を楽しむ一つの在り方として上手く描いてくれる読書術の本もたくさんありました。
本で得られる体験は人それぞれでありますが、読み方にも様々な方法があります。本を読んでいて自分の読み方のスタンスに悩んだ時は「読書術」の本はおススメです。
前置きが長くなりましたがそんなこんなで「読書術」と書いてある本があるとなんとなく読んでしまう身体になってしまっています。今回読んだ本はテレビ東京プロデューサーの書く高橋弘樹さんの「敗者の読書術」です。
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第十五回 「雪の断章」 佐々木 丸美 著 (創元推理文庫)
今回の参加者:私、お姉ちゃん、シュガさん
姉「同じ作者でミステリーだと思ったらドラマだった読後感と、ドラマだと思ったらミステリーだった読後感どっちがいい?」
私「どっちでも~」サンタロウデモラエタミスドノフレンチクルーラーパクー
姉「……どっちがいいか聞いてるんだけど(^-^)」
私「ミステリーだと思ったらドラマの方が読みたいです!」
そんなお姉ちゃんの問いかけ(という名のパワーハラスメント)から今回の課題図書が決まりました。
お姉ちゃんが課題図書にあげたのが佐々木丸美さんの「雪の断章」。(ちなみにドラマだと思ったらミステリーの方も佐々木丸美さんの「崖の館」らしいです)
パワハラまがいのおススメで読まされた本ですが、これが本当に面白い!
下校中の電車で読みはじめて、家に帰って、やらなくてはいけないことがあったのですが、続きが気になってあと十分……と読み始めたら止まらない……。
「読み終わってしまった……」
時計を見ると午前四時をさしていてプチパニック状態でした(*^-^*)
この面白さを共有したい!
ウキウキ気分で読書会に向かった私を待っていたのは
シュガさん「今回の物語は腹が立ちましたね! 全然おもしろくない!」
この人と分かりあえる日はいつ来るのでしょうか……。
※最後の方ネタバレがあります。徹夜本と呼ばれるほどのミステリーらしいので、読む予定がある人はぜひ読んでから見てください。
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第十四回 「地底旅行」 ジュール・ヴェルヌ作 朝比奈弘治訳 (岩波文庫)
今回の参加者:私、お姉ちゃん、シュガさん
ある日、シュガさんは言いました。
シュガさん「冒険がしたい」
私・姉「!?」
シュガさんはたまに冒険がしたくなります。今回の行き先は地底だと言うことで、ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」に決まりました。
だいぶ前にもシュガさん先導で冒険をしました。その時は白い鯨を倒しにいきました。私は鯨に出会うまでの長い長い道のりに、もう冒険小説はこりごりだったのですが、シュガさんだけはキラキラした目で「冒険サイコー!」と言っていたのを覚えています。
冒険小説の魅力をシュガさんは情報量だと言います。冒険小説を描く作者の造詣の深さが冒険のリアリティを呼び起こすのだそうです。
(※ネタバレがあるので注意してください)
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第十三回 「差別語からはいる言語学入門」 田中克彦 著 (ちくま学芸文庫)
今回の参加者:私、お姉ちゃん、シュガさん
普段しゃべっていて、あんまり言葉について考えることってありません。
例えばいま使った「普段」という言葉。実はもともと漢字では「不断」と書いていて「いつまでも続く意味」が転じて「いつもの状態があること」になったそうです。
「不断」という漢字は知っていましたが、実は「普段」が当て字だったというのです。
開幕に適当にぶちこんだ言葉にこんな深い意味があるなんて。私に与えた衝撃は計り知れません。
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第十二回 「丘の屋敷」 シャーリイ・ジャクスン 著 渡辺 庸子 訳 (創元推理文庫)
今回の参加者 私、お姉ちゃん、シュガさん
私はいわゆるホラー物がダメです。
なにがいやなのでしょうか、と自分自身に問いなおしてみました。
・暗さを巧みに利用した奇襲攻撃。
・不気味な無生物が動くこと。夢の国の着ぐるみなんかも怖い。
・死の恐怖。痛さ。グロさ。 etc...
とにかくホラーはいやなのです。なぜ自分からそんな恐怖に飛び込んでいくのか。ホラーがなくても幸せに生きていくことができるじゃないですか。
姉「うん。今回の課題図書はホラーものにしよう」
私「話聞いてました?」
姉「小説だからまた感じ方ちがうっしょ」
っしょ。じゃないでっしょ。なんですかその軽い感じ。
そんなわけで課題図書は「丘の屋敷」になったわけです。
戦々恐々と怯えながら読んだのですが……
うーん。あまり怖くない……ような……?
なんて読書会で漏らすと
シュガさん「想像力があまりないのでは?」
姉「常に作品の根底に流れる不気味な空気が分からんのかね?」
な、なにをー!(怒)
※物語のネタバレがあるので注意してください。
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