第十四回 「地底旅行」 ジュール・ヴェルヌ作 朝比奈弘治訳 (岩波文庫)
今回の参加者:私、お姉ちゃん、シュガさん
ある日、シュガさんは言いました。
シュガさん「冒険がしたい」
私・姉「!?」
シュガさんはたまに冒険がしたくなります。今回の行き先は地底だと言うことで、ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」に決まりました。
だいぶ前にもシュガさん先導で冒険をしました。その時は白い鯨を倒しにいきました。私は鯨に出会うまでの長い長い道のりに、もう冒険小説はこりごりだったのですが、シュガさんだけはキラキラした目で「冒険サイコー!」と言っていたのを覚えています。
冒険小説の魅力をシュガさんは情報量だと言います。冒険小説を描く作者の造詣の深さが冒険のリアリティを呼び起こすのだそうです。
(※ネタバレがあるので注意してください)
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第十三回 「差別語からはいる言語学入門」 田中克彦 著 (ちくま学芸文庫)
今回の参加者:私、お姉ちゃん、シュガさん
普段しゃべっていて、あんまり言葉について考えることってありません。
例えばいま使った「普段」という言葉。実はもともと漢字では「不断」と書いていて「いつまでも続く意味」が転じて「いつもの状態があること」になったそうです。
「不断」という漢字は知っていましたが、実は「普段」が当て字だったというのです。
開幕に適当にぶちこんだ言葉にこんな深い意味があるなんて。私に与えた衝撃は計り知れません。
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第十二回 「丘の屋敷」 シャーリイ・ジャクスン 著 渡辺 庸子 訳 (創元推理文庫)
今回の参加者 私、お姉ちゃん、シュガさん
私はいわゆるホラー物がダメです。
なにがいやなのでしょうか、と自分自身に問いなおしてみました。
・暗さを巧みに利用した奇襲攻撃。
・不気味な無生物が動くこと。夢の国の着ぐるみなんかも怖い。
・死の恐怖。痛さ。グロさ。 etc...
とにかくホラーはいやなのです。なぜ自分からそんな恐怖に飛び込んでいくのか。ホラーがなくても幸せに生きていくことができるじゃないですか。
姉「うん。今回の課題図書はホラーものにしよう」
私「話聞いてました?」
姉「小説だからまた感じ方ちがうっしょ」
っしょ。じゃないでっしょ。なんですかその軽い感じ。
そんなわけで課題図書は「丘の屋敷」になったわけです。
戦々恐々と怯えながら読んだのですが……
うーん。あまり怖くない……ような……?
なんて読書会で漏らすと
シュガさん「想像力があまりないのでは?」
姉「常に作品の根底に流れる不気味な空気が分からんのかね?」
な、なにをー!(怒)
※物語のネタバレがあるので注意してください。
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第十一回 「地図と領土」 ミシェル・ウェルベック 著 野崎 歓 訳 (ちくま文庫)
今回の参加者:私、お姉ちゃん、シュガさん
「ハヤカワ文庫の本裏のあらすじが壮大なネタバレになっていた!(怒)」
なんて話を良く聞きます。
その洗礼を初めて受けたような気がしています。もしこれから読む人は「帯」も「あらすじ」も見ずに読むことをお勧めしたいと思います。
これより以下、私の体験に基づき「地図と領土」のネタバレが入るので、読もうと思っている方は気を付けて下さい。
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映画鑑賞 「夜明け告げるルーのうた」(※ネタバレあり)
友人と一緒に「夜明け告げるルーのうた」を見てきました。
映画館で映画を見るときって、あんまり泣きたくないんですよね。大勢の中で鼻をすすったりすると恥ずかしくて、かといって鼻水垂れ流しにすると気になるし・・・。
だからねむようこさんのポップで素敵な絵と、楽しそうなアニメーションの動きと音楽で評判だった「夜明け告げるルーのうた」を軽い気持ちで見に行きました。
結果
大号泣
(以下、大号泣したものによるネタバレ感想)
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第十回 「ラピスラズリ」 山尾悠子 著 (ちくま文庫)
今回の参加者:私、お姉ちゃん、シュガさん
世の中には分からないものがあります。
数年前、数少ない友人から薦められた山尾悠子さんの「ラピスラズリ」。
難しくて、小説の世界にまったく入れずわけが分からない、と友人に言った時の苦笑いが今でも忘れられません。
しかし私の人生体験や読書会の日々。それらが糧になって今なら読める気がするのです!
そしてその友人と今なら笑いあえると思う!
時は来た!それだけです!
・・・
うおおお。やっぱ全然分からない!
満身創痍で読書会に向かった私を待っていたのは楽しそうな二人でした。
姉「ラピスラズリ面白かったね。課題図書にしてくれてありがとう」
シュガさん「いやー面白かったね。よかったよかった」
この人たちと分かりあえる日がくるのでしょうか。
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第九回 「自負と偏見」 ジェイン・オースティン著 小山太一 訳(新潮文庫)
ぎりぎり四月、間に合いました!!!
深夜番組表だったらまだ四月です!なのでぎりぎり月一本ペースのはずなんです!
今回の参加者 私、お姉ちゃん、シュガさん
ああ! 面白かった!
600ページほどの「自負と偏見」を読み終わり、満足感でいっぱいになりました。
その足で本屋に行き「高慢と偏見とゾンビ」や「ジェイン・オースティンの読書会」を買ってしまうほど、この小説の虜になってしまっていました。(何か方向性が違うとお姉ちゃんに言われましたが)
ここまで私を惹きつけた理由はなんでしょうか。文庫本の解説で桐野夏生さんはこう書いています。
『自負と偏見』は、身分違いの恋の成就に加え、最後まで相手の心が読めないミステリアスな展開と、相手の心の謎解き、など後のロマンス小説のパターンを作った作品である。
まさにそうなのです。
初対面は最悪、だけどお互いの心の内をしっていき、恋が成就し大円団!
どストレート、と言われるかもしれないけど面白いのです!
私の大好きな漫画「彼氏彼女の事情」もそういう感じで、単純にそういうのに弱いだけかもしれないですが、逆を言えば身分差の恋愛漫画が好きな人には!
絶対おすすめしたいのです!
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